2015/01/06

toyogeki works.そのニ

ホントに良いのか!? は最後まで続く‥‥

バーカウンター、客席、本棚の配置が決まると照明計画が出来ます。
灯具は先行して候補を上げてました。

照明計画ファーストプラン

照明器具を選ぶ基準の最優先は豊劇にあったもの。
当然老朽化、各部の劣化が考えられるので要修理が前提です。
次に豊劇になくて必要なものは中古。
建物の年代に違和感ないものを探します。
しかも、コレは見た事ないだろ〜ってのが選択基準。


アイアンランプ
最初に手に入れたのは本棚前の空間に使う大きめのシェード(古いサーチライト)です。
オークションで発見、購入していただいたのですが‥‥翌日のこと。
伊木君からのメール「こんなんありましたよ~」画像を見るとほぼ同じタイプの朽ちたサーチライト!

 

幸い(w)ひとつしかなかったものの、これでふたつそろって本棚前のメインランプが決まりました。
後に清掃、柿渋、油仕上げの上吊り下がる事になります。
ヤレたままでもいいかもしれませんが油を刷り込むことでアジが出ます。

                                                      光ってるメッキの袋ナット塗ったwww



スポットランプ
このスペースにはメイン照明だけでは本棚が暗いのでウォールウォッシャーを兼ねてスポットを計画します。
豊劇にはジャンクのスポット器具が何個かありましたが他で使う予定だったので別途探索。
USAKodakの暗室用ランプを選びました。
これも本来の目的意外で使われてるのを見た事がなかったので独断決定。安かったしね。(w)
シルバーに赤いリングが効いてます。電球はLEDビーム球。

                                   画像にある電球は「影美人」予算があれば使ってたな。すごく良い!

                                                          ステー、スペーサーを手作り(>_< )





バーカウンターランプ
早い時期に「コレ使いたいなぁ」と勝手に入手して準備していたチューブランプ。

バーカウンターの照明に蛍光灯!
あまり見ません。てか普通使いませんよね。
当然すんなり合意ってわけに行かなかったのですが、伊木君の強力なフォローで実現しました。

 


元は工場用の蛍光灯器具で点灯時のスパークを保護するガラスチューブが特徴的です。
その機能から完璧に密閉されていたので分解が超難行しました。
元器具をバラし金属部の塗装をはがしています。
元の塗装も工業系の感じが好きですが、アルミの質感がムード出すのではないでしょうか。
吊り下げ用のチェーンも軽トラのスノーチェーンを分解、清掃、油拭きしました。

器具、チェーンの細工には友人の二輪舎岸田氏の多大な協力をいただきました。
当人曰く「どんどん迷惑かけてくヤツが増えて行くなwww」



 最終的にまだ照度が高いように思っているので少し減光させたいと思っています。
配線はジャンクのフレキでカバー。



シャンデリア
ロビー(BAR ajito)で一番目立つ照明、リールシャンデリア。
豊劇ジャンク探索初期から見た事ない大きなフィルムのリールが気になってて何かに使えんやろか‥‥と思ってました。

映画の35mmフィルムを巻くリールとデカイ映写機

劇場入口すぐのところが入場券のやりとりとか接客する場所になるので、このあたりの照明に悩んでました。
このカウンターは階段のアール(曲線)に合わせて同じくアールをとるとのことでシャンデリアにしたらばっちりに思いました。
最初の案ではソケットを隠すのに周囲にフィルムを巻こうとしたり、大小2段重ねもありましたがヤメた結果シンプルに出来たと思います。
使用している電球の形(水雷球)は元々ろうそくの炎を模したものなので、下向きはルール違反!?おそらく既製品ではないのでは。
フィルムからしたたる光のしずくってイメージ‥‥決め過ぎですかね。


                                                           見るたびに出来て行ってワクワク


当初仕様だけ決めて後は電気屋さんにおまかせ~って考えでしたが‥‥
設置する時になって予定してたワイヤーがない!え~っ!ってことになって、急遽ワイヤーを買って来ていただき組みました。
この時はもう瞬発力。電気屋さんの話を聞いて自分判断で仕様を考えます。
微調整の仕組みはナフコの店員さんのグッドアイデア!でも、もうひと手あったなぁ~。
絶対気がつかないポイントとしては(笑)ワイヤーの束押さえにリングがひとつかませてあります。
ポスター「METROPOLIS」にかけてあるんですよね。わからんよね(>_< )
吊り下がるまではワクワクどころか無事に思い通りになるのかドキドキで胃が痛くなりました。
全球LEDなので明るさの予想がつかず、実際少し明るいですがギリギリOKかな。

                                              ワイヤー施工は私なのでなるべく近づかないようにしています(笑)
並んだグラスがキレイに輝いています。



メインランプ
ロビーを横断するランプも紆余曲折
どうしても使いたかったのは古い工業系のグラスシェード。

                                               コレ

本物は高価な上、数をそろえるのは非現実的です。
あっさりあきらめてリプロを探します。
近いものが見つかりましたが気に入った大きさのものがありません。
最終、今のものに落ち着きましたがデザイン元は同じく古い工業系ランプです。
やっぱここはガラスシェードでしょう!


                                                            新品リプロながらモールディングが素敵です



スポットランプ2
またまた分かりにくいですが壁面ポスターフレームを照らすのは豊劇ジャンクのスポットライトです。
ただし中身はハロゲン用器具が収まっています。

                                                       ステーもヤレた鉄材をもらって手作り

楽をしようと電気屋さんに改造をお願いしました。
出来上がったモノが伝え方が悪くて思ってたのと違う!
‥‥やり直しを頼むのがコワくて自分で仕直しました。
だいたい楽しようとしたときは倍になって帰ってくるね‥‥
結果、下からほとんど見えませんwww




サインランプ
エントランス BAR ajito のサインを照らすのはアメリカより輸入した古いアルミ製スポットジャンクです。
恐ろしい事に後日似たようなランプが豊劇で発掘されてました。
しかも何気なく同じ箱に入れられてて「あったんかいー!!」
痛みがひどく使えなかったのは幸いでした。




ホールランプ
レトロホールに下がっているのは昔は普通にあったミルクガラスのシェード(当時もの)です。
大きいサイズのものがなくてさんざん探しましたが、元々こんなのが付けられてたのでは‥‥と思います。

                             同じものは2個手に入らなかったのですが大小あって遠近感が出ました。



テーブルランプ
カウンター前のボックス席のテーブルランプ
これはドイツから輸入しました。

1980年代の東ドイツで売られてたもので、よくあるガレージランプです。汎用品ですがシェードはガラス製で細くウエービングが入っているのが素敵です。
ハンドルはプラスティック製ですが刻印があって質感も重厚な感じがします。
ある時代までプラスティックでも良い素材感があるのに現代のはなんか薄っぺらいってのはなんででしょうかね。
誰も気がつかないポイント‥‥コンセントが‥‥








大空間の照明など全く経験がなかったので、最後の一灯が付くまで気が気ではありませんでした。
プレイベント後に全てのランプが付いてからは内心違和感がいっぱいで調整必須でした。
ここまでですでにLEDづくめでは想像より明るくなる事、たとえ電球色でも色温度がフィラメント電球より高くて白くなる事など上手く行かないのが分かってきてたので適所白熱球を入れて微調整していました。
それでもどうも納得いかず本オープンまでにいくつかの電球配置換えをして落ち着きました。
自分としては精一杯出来たと思ってます。

コストとデザイン性を考えながら、ここにはコレしかないって詰めて行くのは大変でしたが、結果好きなようにさせていただけたような気がします。(ランプ好きの)自己満足度高くてゴメンナサイ。(ウラ稼業で古いランプと掛け時計売ってたりします)
この広い空間と出来上がった構造には手を加える隙はなくて、雰囲気を作り出すのに照明器具の比率が高いと思ったのでした。
いろいろ好き放題の要望を形にしていただけた井垣電気さんに感謝しています。

こんなのも豊劇に転がってたのを再生しました。
僕「洗い場暗いね。なんか点けようか?」
伊木君「映写室で見つけたヤツ付けましょう」
僕「えーやん!」てな感じで進む。



横長ですがなんせ広い空間。出来上がって、ん?何処にあの手間ひまがあるん?
てな印象でしたが、この広々感、余白感は貴重かな‥‥
かっこ良さだけ求めた詰め詰めキメキメじゃない、後の人たちが作り上げるベースが出来たと思います。



ブックスタンドを針金で手作り。ブックエンドは既存ジャンク。








長々と文にして、さも自分で全部したように書いてますが、以前の設備(チケットモギリのブースとか物販のショーケースとか後付けの垂れ壁とか)が全て撤去された時にすでに空間として出来てたわけで、僕がデザインしました。なんて大きな顔する事は出来ません。
プロジェクトチームの誰かのひと言を課題に部分部分で自分なりの提案をさせていただきました。
正解だったかどうかもわかりませんが、些細な事にもこだわり、これが良いんだ、こうするべきなんだって思い込みを共同で可能な限り実現しました。

 これからは石橋さんご夫妻と伊木君そしてそこに集う人々が痕跡を積み重ねて行くことでしょう。

2つのポスターが架かる大きな壁面の余白は無数のフォトフレームで埋まり、テーブルには無数の傷跡が付き、本棚は興味深い本で埋まり、白い壁や柱は何人もの手あかで汚れ‥‥いつの日か移設した映写室の扉と一体化する時を楽しみにしています。
新生豊岡劇場も広く末永く多くの人に愛される事を祈っています。

経験も実績もない自分にこの機会を与えていただいた石橋秀彦さん石橋未来子さん伊木翔くんに御礼いたします。ありがとうございました。
松本1級建築事務所 松本智翔氏 ニ輪車 岸田正雄氏 水嶋鉄工所 水嶋義弘氏 株式会社ハブタ工務店 圡生田ますみさんには多大なご協力とアドバイスをいただきました。ありがとうございました。
また気弱になる自分を見守っていただいたキヌガワクリーニング 衣川克典さん 楽縁 北垣雅司さん 三道や 岡田俊二さんありがとうございました。

勝手に苦闘4ヶ月‥‥これにてようやくカバン屋に戻れそうです。

長文で乱文なこのブログを最後まで見ていただきありがとうございました。m(_ _)m


関係リンク
デコンプ ラボラトリー本業photo
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豊岡劇場
シネマトゥデイ記事

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